珍奇な変装は保釈に立ち会う弁護士のアイデアだったらしいが、云われるがままに化けた本人の心境が理解出来ない。察するに、100日に及ぶ拘留期間を経て、精神が萎縮したか。
逮捕前の華麗な生活とは一転、狭い独房に閉じ込められた上、連日連夜、長時間の尋問を受け、自白調書への署名を強要され続ければ、惨めさに心を病み、卑屈になっても不思議はない。
主任弁護人の弘中弁護士は、東京地裁の保釈決定について「認められてよかった。『人質司法』がなくなるきっかけになってほしい」と話したが、真っ当な意見として拝聴した。
嫌疑を認めず自白しないからと、ただソレだけの理由で、検察が人権を無視し、容疑者を意のままに長期拘留出来る民主主義国家など、わが国を除いて他に存在しない。
しかも、99.9%の起訴後有罪率ゆえ、検察がそうと決めれば、容疑者は即ち、ほぼ罪人確定だ。コレじゃ、日本はロシアや中共並みの司法後進国だと、海外から見做されても致し方ない。
江戸時代のお白州同様、虫ケラどもはつべこべヌカさず、お上の裁きに従えと、検察や裁判所が腹の底で考えているのなら、現代の司法・裁判制度とおよそ程遠い概念だ。
そこには何ら疑問を抱かず、メディアの報道を鵜呑みにして、推定無罪の原則も忘れ、お奉行様が「打ち首獄門に処す!」と申し渡せばいいのに〜、と期待する庶民は、脳内構造が明治維新以前か。

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