これぞ政界再編だ。既成政党が合流・分裂を繰り返して、有象無象のミニ政党があぶくのように誕生する。亀井静香氏と山田正彦氏が結成する「反TPP・脱原発・消費税増税凍結を実現する党」もそのひとつだ。TPPと原発と消費税増税に反対する票を集めたい気は分かるが、アンチだけで、政党としての理念も方向も示さないのだから、典型的な付け焼刃だ。
そもそもTPPの中身もはっきり分からぬ現時点で、「反TPP」に何の意味があるのか。一部の識者が交渉にすら参加するなと乱暴に反対するが、その根拠が支離滅裂な陰謀論だったりする。たぶんTPP参加交渉が具体化すると、長年隠蔽してきた実態が暴露されることを恐れる既得権益層、例えば農協あたりが故意にデマを流しているのだろう。心ある国民は、TPP交渉に早く参加して、国益拡大のチャンスを狙って欲しいと望んでいる。
それに「脱原発」を掲げる理由は一体何なのだ。原発は、天然資源の不足するわが国にとって、欠かすことの出来ない高効率で安価なエネルギー源だ。しかも日本の原発技術は世界の人類が必要とする貴重な財産だ。メディアの恐怖報道に煽られて、放射能ヒステリーを起こした人々の票を狙う気持ちも判らないではないが、ベテラン政治家が雁首を並べながら、代替エネルギー政策案も示さずに「脱原発」とは情けない話だ。
さらに消費税増税を凍結すると息巻くが、今夏成立した消費税法案には景気条項が既に入っている。経済成長が確固たるプラス数値にならぬ限り増税には至らない、元々そう云う法律なのだ。「凍結を実現する党」を勝手に名乗り、不況長期化で凍結された際には、自分たちの手柄として宣伝する魂胆なら、随分浅ましい。
結局のところ、亀井・山田両氏は旧特定郵便局や兼業農家あたりの支持を集めるのだろうが、政党としては発展しそうもない。でもだからと云って、「反TPP・脱原発・消費税増税凍結を実現する党」なんて名称は何だか投げやりな感じが否めない。たぶん突然の解散総選挙に慌てて、政党名まで考える余裕がなかったんだろう。