TPP反対派が執拗に攻撃するISDS条項は、Investor-State Dispute Settlement の略で、投資家と国家間の紛争処置に関する取り決めだ。外国への投資や進出に際し、相手国の一方的な制度変更などで事業が継続出来なくなった場合、企業や投資家が仲裁裁判所に訴えることを可能にするルールだ。後進国は突然の政変があるかも知れないし、平時でも法律そのものを恣意的に捩じ曲げる怖れだってある。
このISDS条項は国際貿易が盛んになった60年代頃から、経済協定や投資協定に入れるケースが多くなった。わが国がISDS条項を含む協定を結んだ相手は、既に26カ国にも上る。ISDSと聞いただけで顔を引きつらせてアメリカの陰謀が〜!と叫び、わが国が崩壊すると脅える人もいるが、日本がこの条項を協定に含めたのは相手国を崩壊させる為ではない。単純に企業を守るためだ。
TPPにせよ、その他の経済協定にせよ、基本的な考え方は「内国民待遇」 National Treatment だ。即ち自国の企業と同等の権利を相手国の企業に与えなさいと云う、WTOの基本原則だ。そしてISDS条項による仲裁で判断するのは、外国企業を不当に差別的な取り扱いをしていないか、と云う一点だけだ。
ISDS条項は水戸黄門の印篭ゆえ、振りかざされたらハハ〜と土下座せざるを得ず、医療保険から食品安全性規制まで全ての制度が壊滅する、とデマを流す評論家もいるが、事実無根の嘘だ。経済協定ごときに各国の国内法を変更させる効力はない。実際、EUでもNAFTAでも加盟国はそれぞれの国内法をしっかり守っている。
ナンセンスなデマに騙されてはいけない。出来るだけ早くTPP交渉に加わり、域内貿易振興によって大きな経済成長を狙うべきだ。消費者の選択肢を増やし、もっと豊かな国にしたい。日本を弱体化させて国益を毀損する民主党政権はもういない。信頼出来る安倍政権だからこそ、TPPに前向きに取り組んでくれと、われわれ国民が声を上げよう。
ネット上では強硬な反対論が目につくが、賛成する人、支持する人は何も云わずにじっと待っているのだ。安倍さん、麻生さんが笑顔でTPP交渉参加を発表してくれたら、きっと万雷の拍手が起こる。そろそろ今週あたりに発表かと、首を長くしてるんだけどな・・・・。
(おまけ)この質疑、面白いです。