産経新聞の一面見出しに、大きな活字で「消費税来春8%、首相決断」とある。iPadの電子版でもびっくりしたくらいだから、大きな紙面で見た読者は驚いたろう。と云っても、増税に仰天したワケじゃない。確か10月早々に首相が決断する予定だった筈で、あれれ、突如、タイミングが前倒しかと奇妙に思っただけだ。
ところが記事は、首相がその旨判断したと書くのみだ。後日発表する方針とあるから、明らかに現時点では未確定だ。法人税減税などの対策を具体的に検討せよと、首相が指示を出したので、増税決定らしいと云う推測だ。読者の反応を得るためのアドバルーン記事かも知れない。
で、一読者として素直に反応する。
消費税増税は結構なことだ。世間では景気腰折れ懸念が囁かれるが、それ故、法人税減税や投資減税、賃上げ減税など、企業活動や消費生活をバックアップする対策が導入される。なかには、それならいっそ消費税増税自体をやめろと云う主張もあるが、税の直間比率を是正する良い機会なのだ。
それに消費税は極めて公平で透明性の高い、理想的な徴税方式だ。消費発生段階で商品やサービスの対価に税金を乗せるシステムが合理的で便利だからこそ、世界的に徴税の主流となりつつある。欧州では付加価値税、アメリカでは売上税と呼ばれるが、名称は違えど消費税と同じ考え方だ。
安倍首相は反体勢力の声に臆することなく、消費税増税を断行すべきだ。アベノミクスで景気が上向いて、確かな経済成長が見込める環境となった。一方で、震災復興やオリンピック招致の財源確保が必要だと、多くの国民はよく理解している。千載一隅のチャンスなのだ。
全国民が、それぞれの懐具合(消費額)に応じて納税義務を果たす、健全な社会でありたい。ともすれば、共産主義者や社会主義者が必死で消費税増税に抵抗するのは、自ら努力することなく、社会にぶら下がろうとする卑しい魂胆があるからだろう。
企業や富裕層や資産家から懲罰的な高税を取り立て、貧困層にひたすら分け与えれば、江戸時代の鼠小僧みたいに、左翼の人気を博すかも知れないが、社会としての健全性は失われてしまう。鼠小僧は所詮、泥棒に過ぎない。頑張った人が損する仕組みでは経済が発展しない。