毛沢東は中華人民共和国を建国後、独裁者としてひたすら恐怖政治に邁進した。大躍進政策、転じて大失策となって慢性的な飢饉を発生させ、少なく見積もっても数千万人以上の餓死者を出した。後年、文化大革命の名で進めた殺戮と弾圧で、さらに数千万人以上を抹殺した。
合計すると、毛沢東によって命を落とした人間は、推定5000万人から8000万人。いくら13億の人口を誇る国であっても、酷すぎる話だ。ちなみに共産主義体制化で殺害された国別犠牲者数ランキングでは、支那中共がダントツの一位だ。2位のソ連は2000万人だから、毛沢東はスターリンも裸足で逃げ出す悪魔なのだ。
その悪魔を中共政府は英雄として国父として神格化してきた。1976年に本人死亡後、権力抗争と共に文革批判が起き、実行部隊の逮捕・失脚騒ぎはあったが、毛沢東の批判は絶対に許さなかった。公に毛の悪事を認めるわけにはいかない。毛を否定すれば、共産党の存在が否定される。もっともその一方で、近年、派手な毛沢東賛美は控えて来た。西側諸国の毛路線に対する厳しい評価もあるし、個人崇拝は時代の趨勢に合わない。
ところが、連日報道される反日デモには、毛沢東の肖像画が驚くほど沢山登場する。毛など、わが国政府の尖閣諸島購入と何の関係もないじゃないかと思うが、実はちゃんと辻褄があっている。まず日本との領土問題をクローズアップして、民衆に満州事変や支那事変の歴史を想起させる。そこで毛沢東のポスターを掲げて宣伝するのだ。その昔、日本と戦い勝利したのは共産党だったでしょ、と。
たまたまタイミングもかって満州事変が勃発した9月18日だし、反日デモは共産党の宣伝としては効果的な演出だ。次期指導部を選出する来月の党大会にとっても重要な雰囲気作りになる。ふだんは政府に批判的な民衆だって、何だかんだ云っても感謝すべきは毛沢東だな、頼りになるのは共産党だなと感じるだろう。外敵に関心が集まれば、民主化を求める声も小さくなる。あれれ・・・、と云うことは反日デモは政府公認のヤラセか。暴れる民衆はエキストラか。
反日デモが100%官製なら、そもそも日本政府の尖閣国有化もヤラセみたいに思えてくる。突如、東京都の購入交渉を邪魔して、無理矢理、地権者から買い取ったのは、もしや中共政府の差し金か。民主党政権であればこそ、そこまで支那に協力する可能性も否定できない。何しろ幹部連中が揃いも揃って、若い頃、毛沢東思想に憧れた元活動家ばかりなのだ。