米国でテレビが一般家庭に普及した1950年代、一般人の参加と高額賞金で人気を博したNBCのクイズ番組が全てヤラセだった、との実話スキャンダルが題材だった。
八百長を演じる出演者や不正を追求する捜査官など様々な役柄が登場する中、印象に残ったのは番組制作担当者だ。仕込みを暴かれた彼はこう開き直る。「テレビはエンタメだ」
この映画を突然思い出したのは、数日前、街頭インタビューで答えた女子学生は度々登場する人物じゃないか、とテレ朝のヤラセを糾弾する保守系ブログを読んだ時だ。
当日のモーニングショーは「GWの新大久保が大人気」と見出しを付け、韓国コスメや韓国グルメをベタ褒めして、コリアンタウンの楽しさを宣伝する内容だったとか。
偶々街を通りかかった格好で、局員の突き出すマイクに韓国愛を語る件の女子学生。なかなかの美形でもあり、あっ、見たことある子だ!と気付いた視聴者がいたらしい。
例によって例の如く、取るに足らない隣国のアレコレを無理にでも賛美し、韓流ブーム再来を捏造せんと企む情報工作に呆れるのは、常識的な日本国民なら当然の反応だ。
しかしテレビの演出なんて、所詮そんなモノじゃなかろうか。真実の世相を伝える気など更々なく、ソレらしい場面を都合よく、ソレらしくでっち上げるだけなのだ。
受信料強制徴収のNHKを除けば、メディア企業は稼がねばならない。嘘でも屁理屈でも構わないから、スポンサーの喜ぶ単純で判り易い絵を視聴者を届けるのがシゴトだ。
実際、有楽町駅前では連日、テレビ局員が街頭インタビューの動画を制作している。クルー数名の脇に、主婦や学生やサラリーマンを演じる劇団員たち(?)が控える。
「値上げラッシュで生活が苦しい」「コロナ感染の再拡大が怖い」「直ちに戦争を止めて話し合って欲しい」などなど、台本通りに語り、表情を作る役者たち。
こんな偽世論は本当の世論じゃない、と指摘するのは簡単だが、通行人に手当たり次第インタビューするのは無理だろう。肖像権や人格権にも配慮すべき時代だ。
ヤラセ行為には倫理的問題が付き纏うものの、粗製濫造のテレビ番組如きにあっさり騙され、ムードに酔い、ブームに踊るとすれば、視聴者自身の責任とも云える。

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