この祖母の口癖が「臥薪嘗胆」だった。大東亜戦争に敗れた悔しさを忘れるな。苦難に耐え己を鍛えよ。いずれ、お国のために尽くす機会が再びやってくると、旭日鮮やかな布団で一緒に寝る孫相手に熱く語った。天子様の赤子として立派に死ね、なんて言葉もあったように記憶する。
たまたま長刀の心得があったため、焼夷弾を雨と降らすB29爆撃機を睨みつつ、婦人会の先頭に立って竹やりを振り回した祖母にとって、平和は仮初めの姿に過ぎなかった。戦後生まれの自分には、祖母の戦闘意欲がもうひとつ理解できなかったが、真剣さは肌で感じた。
しかし幾ら何でも、死んじゃマズイだろと幼稚園児でも思う。そこで尋ねた。「おばあちゃん、ボクが死んじゃってもいいの?」
孫の言葉に仰天したのは祖母だった。ああ情けない、と呟やくや、がばっと跳ね起きて布団の上に正座した。サムライの子が死を恐れてどうする。命を投げ打って武勲を立てることこそ、我が家の名誉ではないか。ここまで語ると、また臥薪嘗胆に話が戻った。いずれ仇を打たんと、痛い薪に寝て、苦い胆を喰らい・・・・
寝床で聞く話は小難しくて眠かったが、とにかくキーワードは臥薪嘗胆だなと納得した。大好きなおばあちゃんをスイッチオンする魔法の言葉だ。日本男子たる者、いずれやってくる大戦に備え、今は兎に角、臥薪嘗胆に徹せねばならない。
よし、この大切な言葉を、誰彼かまうことなく皆に教えてやろうと、幼い自分は決意した。先ずは両親に教え、当時は一緒に住んでいた叔父にも教え、ついでに配達で勝手口にやってきた酒屋の小僧さんにも教えた。幼稚園で友達に教え、園長先生にも教えた。
ところがだ。キーワードを聞いても誰もスイッチオンしない。意味の分からない子供たちはきょとんとするだけだが、許せないのは大人たちだ。誰もが腹を抱えて大爆笑する。叔父は笑い転げて箪笥の角に頭をぶつけた。園長先生は身を捩って狂喜の涙を流した。
へんだ。一体、何がおかしいと云うのだ。おばあちゃんが真剣に語る有難い言葉を、周囲の大人たちはこんな風に嘲るのか。笑い飛ばして馬鹿にするのか。大人たちの笑い声を聞くうちに、どんどん悲しくなった。気がつけば、悔し涙が頬を伝う。
息子の泣き顔を父親が覗き込んだ。何を泣いてるのだ?と云いながら頭を撫でた。「また軍国婆さんの口癖か。『臥薪嘗胆』を吹き込まれたな」
自分が頷くと、父親はこう云った。「難しい言葉だから無理もないが・・・」
込み上げる可笑しさを噛み殺すように続けた。「おまえがさっきから云ってるのは、ガションシータンだ」
ラベル:臥薪嘗胆
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すみません。大いに笑わせていただきました。失礼ながら、タラちゃんが「ガションシータンだ!」と言ってる姿で再生されました。
オチの付け方が見事です。
こういうユーモアって大切だと思います。ユーモアを忘れて余裕をなくすと、理想と現実のギャップに苦しみ、一足飛びに革命にいってしまいかねません。
数年前、どこかの大学生が、日本社会のあり方を嘆いて割腹自殺しました。嘆くのはわかるような気もしますし、自殺した人にむち打つつもりもありませんが、産経新聞の論説委員が紙面でこの自殺を称賛していたのには呆れ果ててしまいました。
その大学生に、自殺前にこのエントリーを読ませてやりたい気分です。
このイラスト、YOhkanさんもカツオ君の様で可愛いですね。
幼稚園児のyohkanさんには「ガションシータン」と聞こえていたのですから、笑い転げる様もさもありなんということなんですね。
敗戦の悔しさはどの国にも正に『臥薪嘗胆』なんでしょう。
日本はアメリカで、支那とロシアは日本に対してだろうと思います。この「次は絶対に勝つ」という感情って普通のことですね。
もっとも日本はアメリカと安保同盟を締結して同盟国になったし、戦後、アメリカからの支援がありました。現代は現代でアメリカの音楽、食、文化を謳歌している日本人がアメリカ嫌いは少ないでしょう。嫌いな人は社会・共産主義者とマスゴミにやられた社会弱者あたりでしょうが。
『臥薪嘗胆』はなくなりましたが、日本国を絶対に守るという強い決意が国民全員に不可欠ですね。
そうそう、あたしなんぞ、タラちゃんみたいな下町のガキンチョでしたよ。
コレ、実話だってところが情けないけど、ま、笑えりゃ何でもいいかなっと。笑うって全面的な肯定ですからね、いろいろ問題あっても先ずはすべてを素直に受け止めないと、何も始まりません。
自殺はいけませんよね。特に若い人の自殺はダメ。生きてりゃいいこと、絶対に沢山あるんだから。死んで花実が咲くものか、ですよ。
あらら、さっきはタラちゃんかと思えば、今度はカツオ君になっちゃいましたか(笑)
辛い敗北があれば「臥薪嘗胆」は当然です。復讐と云えば嫌らしいけど、今度は勝つぞと覚悟を決めて戦う精神は忘れたくないですね。もちろん戦争したいって訳じゃありませんが。
表面的には、日本が負けた相手はアメリカでした。しかしいろいろと研究してみると、真の勝者はソ連のスターリンだと考えられます。日本もアメリカも、共産国家ソ連の謀略にしてやられた。
日本の敵は英米じゃない。真の敵は、旧ソ連や支那、北朝鮮などの共産勢力です。この観点を絶対忘れたくないです。
読み始めて、仕事の椅子の背もたれを30度くらいにして、「落ちは何処だと」目を皿の様にしながら、読んでいるうちに、最後の一行に来たら、ウヒャーッでした。
思わす、反射的に浮かんだ言葉は、ハナ肇の「ガチョーーン」でした。
私も、明治22年(1889)生まれの祖母とよく一緒に寝ました。祖母に可愛がられた男の子は、yohkan さんや、私の様に優しい男になるのです。
臥薪嘗胆:目的達成のために努力し、苦しい試練を自分に課すること。
戦争以外でも大切な心得だと思います。
ところで、ユーモアというのは、「自分を笑いものにして、場を和ませる」ことを指すという話を聴いたことがあります。
さすがにアメリカにお住まいだけあってユーモアのセンスをお持ちのようですね。
あたしは漫画を余り見ないので登場人物や筋書きを知らないので、サザエさんといえば、この絵の男の子はカツオ君と短絡しました。
タラちゃんの方が似てますね。
Yohkanさんが仰る通り、第二次世界大戦の本当の敵はスターリンソ連のコミッテルンであることは間違いない事実です。
ルーズベルト大統領の側近が皆、共産主義者だったと言うのは本当に驚きですが、あの当時はアメリカでも共産主義が受け入れられていたのです。驚きですが、これが歴史を読み解くカギですね。
仰る通り、自由主義世界の共通の敵は、社会・共産主義であり、それを未だに信奉しているのは就中ロシア、支那、北朝鮮です。
安倍総理が拉致家族問題を解決して、開発支援金を出して、日朝平和条約締結すれば、北の核ミサイル網が自動的に手に入ります。日米照準から特亜2国に向けてもらえれば宜しい訳です。
楽観してませんが、さりとて、可能性がない筋書きでもありません。期せずして日本は支那と南コレアに対して核装備することになります。日米韓防衛協力は無効になり痛快です!
ロシアはプーチンの出方待ちですが、安倍総理はプーチンと馬が合うのですかね?友好的な関係を保てそうですが。さてどうなるか?
前者を消去下さい。
はい、そのとおり、がちょ〜ん、ですよ。
なるほど、そうでしたか。祖母に可愛がられた男の子は、優しくなりますか。確かにおばあちゃんてのは、限りなく優しい存在でしたね。
そうそう、臥薪嘗胆は、戦争に限らず大事な心掛けですよね。
ほほう、ユーモアって「自分を笑いものにして、場を和ませる」コトですか。人に笑われちゃダメって心配する必要はないと。ああ、よかった(笑)
そのとおり、自由主義世界の共通の敵は、社会・共産主義です。国内に巣食う左翼も、共産国家と連携を図りつつ、ひたすら反国家運動を展開してますね。油断するのは禁物です。
共産国家を信用することは出来ません。日朝平和条約などとすっとぼけた約束事で騙され、敵に金を毟り取られるだけと云う気がしてなりません。
朝鮮半島はいずれ、北主導で統一され、支那の傀儡国家になるでしょう。敵対峙するには、核武装を含め、強大な軍事力を保有するしかないように考えます。
重複分、削除させて頂きました。
安倍・プーチンの関係についても安心できませんね。したたかなロシアにしてやられそうで、心配です。領土放棄にならなければ良いのですが。
>したたかなロシアにしてやられそうで、心配です。領土放棄にならなければ良いのですが。
私はプーチンが歯舞、色丹島は無人で意味がないので返還させて、国後、択捉は共同統治にするのではないかと仮説立てです。
クリミアの例がある通り、何れほとぼりが冷めた頃に、ロシア人が殆どの国後・択捉で住民投票をさせて合法的にロシアへ編入させるというシナリオだとみています。
これなら争わずに勝利できますからね。
こういう事態に日本はどういう長期戦略で臨めるかではないですか?
> 私はプーチンが歯舞、色丹島は無人で意味がないので返還させて、国後、択捉は共同統治にするのではないかと仮説立てです。
そのあたりで決着をつけたいのがロシア側の意向でしょう。しかし共同統治とは、実質的な領土放棄に他ならない。まともな軍事力もなく、自衛権ごときでこれだけ揉めるわが国ゆえ、自業自得ではありますけどね。
武力がなければ長期戦略もへったくれもないように思います。泣きべそかいて、モミ手しながら、周囲に気を使って生きていかねばならない、将来の日本人がかわいそうです。
> 落ちがあったのですね。
そうなんです。それだけなんです・・・すす、すみません。
>武力がなければ長期戦略もへったくれもないように思います。泣きべそかいて、モミ手しながら、周囲に気を使って生きていかねばならない、将来の日本人がかわいそうです。
御意。
日本の場合、近隣に想定敵国が存在する以上、悠久で豊かな文化のある日本への侵攻を防ぐ為に、軍事力整備、就中、核武装は必須です。
歴史的な経緯とアメリカの要請で日米韓が軍事同盟関係になっていますが、日米軍事ガイドライン見直しの好機なので、この際韓国との軍事関係は見直すべきです。
安部総理も明快に「中国は敵国である、コリアも今や反日で敵国と見なしている」と宣言したら、北東アジア情勢は劇的に変化します。敵は敵、味方は味方と峻別することが大事です。
edwalker
To: yohkanさん。おはようございます。
>臥薪嘗胆
復讐を恐れた進駐軍は、戦後仇討ちモノを徹底排除してしまいましたが、仇討ちには厳しいルールがあることを知りませんでした。自己の民度でしか相手を測れない・・・下位民度で上位民度を駆逐した。
・藩主の許可「仇討ち赦免状」が必要
・家督相続権のある男子にしか認められない
・仇を見つけたら当地の代官所に「仇討ち赦免状」を提示し届け出る
・当地の代官所や藩主の許可と立会人を置き公開仇討ち
・返り討ちにあった場合家督は消滅
赤穂浪士は「仇討ち赦免状」を持たなかったため「討ち入り」と言われましたし、切腹となった。親が子供の仇は討てませんし、妹や娘もダメ。もちろん母親も。
荒木又衛門の伊賀鍵屋の辻では、仇は旗本の庇護を受けていたので、手が出せませんでしたね。これは運よく討てましたが、一般ではほぼ無理。敵対する藩に逃げ込む連中もいました。仇討ち許可しません。
手続きどおりに行い、本懐を遂げても帰る藩がなかったり・・・仇を見つけられず出奔、行き倒れも多々あったらしい。
普通の仇討ちは、年とともにくたびれて来るものですが、臥薪嘗胆「薪を枕に胆をなめ」とは初心貫徹の意志を感じさせますね。
やはり「恥辱を雪ぐ」などと言いますが、恥の文化がそうさせるのだと思います。
yohkanさんの御祖母様より、
『日本人よ【恥】を忘れるな』
というメッセージがひしひしと伝わってきます。それにしても「オチ」がスバラシイ・・・・(笑)
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>武力がなければ長期戦略もへったくれもないように思います。泣きべそかいて、モミ手しながら、周囲に気を使って生きていかねばならない、将来の日本人がかわいそうです。
将来の日本人がかわいそう? 今の、日本人も,既に、かなりかわいそうです。
九州電力川内原発やっとここ迄たどり着けましたが,早速再稼動反対運動が、醜い顔をした日本人が相変わらずの方式で始めています。
御覧になったかもしれませんが,反対署名を住民に求める脅し方は尋常では有りません。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140717/trd14071708230004-n1.htm
移民受け入れ政策にしろ、反対派の「それを受け入れると、日本人が日本人では無くなってしまうとか,訳の解らない戯れ言を言っていますが、ほんの一世紀前くらいに日本人が多くの諸外国に日本人移民を受け入れてもらった事など知っていて、そんな、戯言を述べているのか? です。
安倍さん、負けるなです。
韓国は既に敵国です。韓国人の知人曰く、「パククネ我が国大統領である」しかし、韓国を中国に売る様な現在の気違いじみた行動をこれ以上続ける時は、我々は許さないと言ってますが,どんな方法で?????
平和を守るものは武力です。武力放棄が意味するところは敗北主義。見せ掛けの平和主義とやらに騙されちゃいけませんよね。
しかし、国際社会の良識に従えば、日本政府が支那朝鮮は敵だ!と宣言する訳にはいかないような気がしますw
先ずは、われわれ国民が敵をはっきり認識し、日々の行動で、戦う意志を示すべきでしょう。
仰る通り、江戸時代の仇討ちはいろいろと厳しい制約が課されたのですね。でも歌舞伎や講談などの仇討ちにはロマンとドラマがあります。進駐軍が仇討ちを怖れた気持ちは分からないじゃないですよw
祖母は明治の女でした。臥薪嘗胆は本気でした。可愛い孫が一度もお国にために戦うことなく、かっての敵国アメリカでのんびり暮らしているのを知れば、草葉の蔭で嘆くでしょう(笑)
反原発派を如何に封じ込めて、原発再稼動に至るか。国家のエネルギー政策を担う安倍政権の英断を望みたいですよ。
移民を1年以上の滞在者と既定するなら、増えていくでしょうね。何も帰化人を大幅に認めようと云ってるわけではない。なぜ、ヒステリックな移民反対の声が上がるのか、よくわかりません。
北主導による朝鮮半島統一と、支那の属国化方針が、どんどん鮮明になっていくでしょうね。ソレに反対する韓国人にとっては受難の時ですね。でも、日本に逃げてこようとしても絶対に入れたくないです。
>しかし、国際社会の良識に従えば、日本政府が支那朝鮮は敵だ!と宣言する訳にはいかないような気がしますw
Yohkanさんて冷静なんですね。
仰る通り外交戦術上はあからさまに敵対視する必要は全くありません、寧ろ、「褒め殺し」の様な甘いけど怖い戦術を取るべきだと思います。
でも、南コリアは豚小屋の様な味噌糞一緒の衛生状態で疫病が蔓延る土地を日本と同等に扱って、皇族を嫁入りさせて、近代化の基礎を創った日本をヒステリックに怨恨で反日の南コリア政府+馬鹿な国民は私は許しませんね。
2015年7月頃から通名と外国名を併記する法案実施になるらしいので、大いなる期待をしています。
ほめ殺し、いいですねえ。単に支那朝鮮に対して宣戦布告する必要はないと云ってるだけで、もちろん敵として認識し、情報戦を勝ち抜くべきですよ。経済的に締め上げるのもいいでしょう。徹底無視もあり、ですね。
永住在日外国人に対する法的な扱いが来年から変わるらしいですね。犯罪者はびしびし取り締まるのは当然です。外国人犯罪者を国外追放にするのは国際常識ですよね。
Yohkan節炸裂ですね。そうこなくっちゃ〜。
国際ニュースはガザ侵攻、マレーシア航空機がロシアミサイルで撃墜とか中々、きな臭くなってきましたね。
民間航空機さえ撃ち落とすとこなんざ、さすがは無法国家のロシアですね。さあ、どうなることやら。
こちらの記事は秀逸です。
絵も。
ほのぼのしていて癒されます。
初めまして。ご愛読ありがとうございます。
いつもって訳じゃないのですが、ときどきほのぼのするテーマにしたいなと思ってます。