2011年06月14日

「菅を斬れ」!民主党の松木議員が登場!

料理茶屋の奥座敷で床の間を背負う小沢。居並ぶ配下の武士達を前にして、すこぶる機嫌が悪い。

 

「よろず屋の小せがれめ。余を愚弄しおって。」昼間、城に呼び出され、お目付け役の岡田腐乱軒に小言されたのが腹立たしい。既に蟄居の身、更なる処分は受けぬが、長年の功労者たる自分に、何ら敬意を示さぬ幕府の態度が気にくわぬ。所詮、余の大判小判で、幕府の体裁を整えただけではないか。苦虫を潰した表情で酒を呑む。

 

その小沢の表情がぱっと明るくなった。待ちかねた客人が座敷に姿を現したのである。素浪人と云った風体の男だった。

 

 

 

 

「おお、松木殿。ちこう、ちこう寄れ。苦しゅうないぞ」正面に座るよう男に勧めると、めずらしいことに、小沢自らが銚子の首をつまんだ。

 

無言のまま、緊張した面持ちで盃を頂く男。松木殿、松木殿と、小沢が愛想よく酌をする。

「いやいや、ご苦労であった。今宵は存分に呑まれるがよい。」

 

「いや、それにしても、この度の貴殿の活躍。実に立派じゃったのう。」小沢は猫なで声で松木を持ち上げる。

「あれこそ、武士の魂じゃ。ここに居る者達も、貴殿と同じ思いであったがのう。脱藩覚悟で幕府に楯突く者はおらなんだ。」

 

小沢の笑顔がぐっと男の目前に迫る。抱きつかんばかりに親愛の情を示す。

「あっぱれじゃ。あっぱれじゃ。日本一の侍が身内にいるとはのう。余も果報者じゃ。うわ、うわ、うわははははは。」最後は、得意の豪傑笑いである。

 

男の胸にはふと疑念がよぎる。

 

天下に小沢ありと謳われた人物ではある。田中や金丸といった武将の下で、戦国時代を生き抜いた剛の者と聞く。しかし菅直人乃守への謀反に際しては、直前で翻意して身を隠してしまったではないか。わが身可愛さの変節とは思いたくないが、敵前逃亡と呼ばれても致し方あるまい。果たして、小沢なる人物を、どこまで信用していいものか。

 

小沢は男の疑念に気付いたか、上目遣いでねっとりと語りかける。

「いや、貴殿の名声は今や全国津々浦々まで響き渡っておる。剣豪松木を知らぬ者は日ノ本にはおらぬ。いや、先日も」と、ここで一旦言葉を切った。

「いっそ、貴殿自慢の名刀で、菅を切り捨てればよかったのう。うわ、うわ、うわはははははは。」

 

暫くして、男は姿勢を正した。江戸を離れ、故郷の実家に身を寄せると云う。「遠路ゆえ、そろそろ出立せねばなりませぬ。」

 

「そうか」小沢は酒に上気した顔を引き締めた。

「いつまでも、気が触れた菅の天下が続きはせぬ。今暫くの辛抱じゃ」と、一同を見渡す。

「皆の者、これからも自信をもって行動すればよい。新しい指導者をわれら一同で考え、選び出してこその世直しじゃ」主導権奪還に意欲を示した。

 

「ついてはな」と、小沢は男に視線を転じた。

「潮の流れを見定めねばならぬ。短気は損気じゃ。当分の間、朗報を待つ気で過ごすことじゃ。」そして、優しい口調で付け加えた。「くれぐれも御身を大切にのう。健康に留意致せ。」

 

深々と一礼して男は座敷を離れた。そして草鞋を履きつつ、ふと気付いた。

「待つ気と健康って、単なる駄洒落じゃねえか。」

 

 松木謙公は闇に消えた。

 

 

 

 

posted by yohkan at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 菅を斬れ・菅&孫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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