アメリカの対外債務が幾ら積み上がろうと、国家破綻は有り得ない。ギリシャやイタリアと違って自国通貨で借りているからだ。幾らでも刷りたいだけ刷れるドル建ての借金を抱えるアメリカと、コントロール不能なユーロを借りまくり、ひいひい泣いている弱小国を比べ、同じように考えるのは余りにも無知だ。
夏場には連邦財政の破綻間近と報じられたが、あれは債務の上限を引き上げるか否か、議会で揉めたに過ぎない。云ってみれば、手続きの話だ。先ずは手堅く支出を抑制せよと云う意見。方や、さっさと従来通り債務の枠を拡大せよと云う意見。双方の政治的な見解がぶつかっただけだ。
もっとも連邦政府にせよ、州政府にせよ、財政赤字を放置するのは不健全だ。つい先日もアラバマ州ジェファーソン郡が30億ドル(2400億円)の負債を抱えて連邦破産法適用となった。赤字が続けば地方自治体だって倒れる。慢性的な財政難に悩むカリフォルニア州もそろそろ危ないと噂されている。
連邦にせよ州にせよ、赤字に陥った政府は財政健全化に向け何をすべきか。増税か借金で歳入を増やす。そして公共サービスや人員を縮小して歳出を削る。対策はこれしかない。ふつう、増税や借金はそう簡単に出来ないから、先ずは出るを制することになる。
カリフォルニア州ロサンゼルス郡で云えば、警察官や消防署員の数を削減した。学校の教員数を大幅に減らし、それでも辻褄が合わず授業時間まで削った。職員の解雇と営業の効率アップを狙う策だ。不況に打ち勝とうと思えば、自治体のヤルことだって民間企業と一緒だ。もちろん住民は不便を感じるが、政府に金がないんじゃ致し方ない。
さて、報道によれば、わが国の公務員のボーナスが昨冬比で4%アップしたと云う。政府も地方自治体も財政難だと聞いていたから、とても意外な気がする。一時云われた公務員の人件費大幅削減案はどこかに行ってしまったらしい。
日本だけの特殊事情だが、役人や教員など公務員は余程の大罪でも犯さない限り、解雇されない。で、民間の苦境を尻目に、ボーナスまでどんどん上がっていく。別に誰が幾ら貰おうと、他人の懐を詮索する必要はないが、これじゃ増税に賛成する一般人は少なくなるだろう。
自治労や日教組を支持母体に持つ民主党が政権に居座る限り、きっと財政再建なんて絶対に無理なのだ。でかい面する公務員相手に無駄の排除なんて出来ない。何の手も打てず、じわじわと財政状況が悪くなるのを見ると、何だか泥舟に乗って沈んでいくような感じがする。そう云えば、野田の顔が狸に見えてきた。かちかち山だ。うさぎは誰かって?・・・ご想像にお任せしたい。
日本は大国であり、世界一の金満国家だ。幾ら政府負債の額が大きかろうと、アメリカ同様、自国通貨で全てファイナンスしているから国家破綻は有り得ない。でも無闇に安心は出来ない。シロアリのような公務員がじわじわと社会の根元を腐らせているのは事実だ。そこだけはギリシャによく似ている。