2011年11月03日

TPP:オバマのウクレレに野田が踊るのか

TPPはアメリカの陰謀だと云う説がある。圧力をかけて日本を改造し富を収奪する計画だと、したり顔で語るひとがいる。経済が疲弊したアメリカは日本の再占領を狙っていると、本気で怯えるひとまでいる。まさか。陰謀ってのは敵を騙し陥れる策略だし、裏でこそこそやるものだ。アメリカは開けっぴろげで堂々としている。輸入超過では雇用が悪化するばかりだから、製造業を中心に輸出を増やしたい。アジア地域の経済成長に自国も積極的に参加して恩恵を受けたい。そのため、各国の諸制度をすり合わせて自由貿易を進めたい。はっきり表明している。国益に沿ったアメリカの外交方針だ。

 

もっと正確に云うなら、TPPは現アメリカ政権の人気挽回策だ。オバマ大統領は就任時に輸出倍増を宣言したが、そんな簡単にコトは運ばない。雇用環境も悪化したまま改善せず、若年層の高失業率が社会問題化している。何か策を打たないと無能だとレッテルを張られる。来年の大統領選挙も勝ち目がない。何とかしなくっちゃ。と、ふと見れば明らかに弱小国が集まったTPPがある。よし、この交渉を牛耳って環太平洋経済圏をぶち上げれば、世間も俺を見直すだろう。そういう政策だ。

 

今月、出身地ハワイで主催するAPECは、オバマ大統領の一大選挙キャンペーンだ。APECは協定でも条約でもない。アジア太平洋地域の各国首脳が集う、ただの顔見世興行に過ぎない。そのAPECをもっともらしく盛り上げるため、将来的に実利が得られるであろうTPPと絡めて見せたい。太平洋に浮かぶ小さな島の出身だからこそ、また、自身の生い立ちがアジアと縁が深かったからこそ、アジア太平洋地域との連携で国益を拡大する大統領だとアピールしたい。TPPこそ、ヨーロッパ系の血筋を持つ大統領や候補者に対して差別性が示せる道具だ。なるほど。涙ぐましいほど、オバマさんは知恵を絞っている。

 

では、TPP推進政策をアメリカ国民は支持しているのか。いや、別にしていない。TPPなんて報道されないから誰も知らない。他国間FTAだと聞かされても、支持するとは限らない。あれだけ自国だけが圧倒的に有利で、韓国を奴隷国家にするような米韓FTAだって、実は李大統領を招いたセレモニーの直前まで上院で批准承認されるか否か分からなかった。民主党が必死で働きかけ最終的には承認されたが、韓国とFTAを結んでも損するだけだと自動車などの業界は反対していた。もしやオバマは議会の承認を得られず赤っ恥をかくのではないかと、保守系メディアは嗤っていた。もともとモンロー主義が根強いお国柄だ。海外には干渉せず自国で完結しようと主張するひとたちも多い。別にアメリカが一枚岩になって他国を牛耳ろうとしているわけじゃない。

 

さて、TPPがオバマ政権の外交方針だとして、わが国はどう対応すればいいのか。簡単なことだ。わが国も国益を拡大させ得る方策を探り、日本独自の外交政策を打ち出せばいい。如何にすれば、日本企業の製品がより多く海外で売れるか、他国からの輸入で自国の市場が荒らされないで済むか。いやいや単に貿易だけでなく、海外との連携を利用しつつ国内産業を如何に振興し、どうやって日本経済を成長軌道に乗せるか。TPPに近い形なのか、APECの延長線上なのか、あるいはASEANプラスを発展させるのか。国民的な議論により、方針を決めて堂々と発表し、アメリカはじめ諸国に働きかけるべきなのだ。アメリカは大切な同盟国であり、トモダチだ。共通の利益が拡大できる道が友好的に見出せる筈だ。

 

自国なりの意志や方針もなく、相手の云うままに大慌てでTPPに乗るのは愚の骨頂だ。仮にハワイでスポットライトを浴びるオバマさんを応援したくとも、野田が火祭りダンスを踊って何になるのか。そもそも踊る前から尻に火がついていて、どうする。

 

 

 

 

TPPが何たるか具体的情報を開示せず、ひたすらマスメディアに煽らせて参加推進ムードだけを盛り上げようとする野田民主党政権。彼らは何と稚拙で馬鹿なのか。日本国を破壊し、国民を騙し陥れるための策略を練り、こそこそ裏で蠢くとは正に陰謀じゃないか。TPPはアメリカの陰謀じゃない。これは日本の民主党政府の陰謀だ。昔の国士なら野田を血祭りに上げよと叫んだことだろう。火祭りじゃないぞ。

 

 

 

 

 

posted by yohkan at 10:14| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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