行き詰まった経済政策で無能呼ばわりされ、提案がことごとく議会で拒否されるオバマ大統領。残す人気は僅か1年余り。常に現職大統領が優勢と云われるが、来年ばかりは再選の可能性が薄い。政権発足時の熱狂的な支持を失い、いささか元気のない大統領が昨日久々に笑顔を見せた。韓国、コロンビア、パナマとのFTA締結が議会で承認されたからだ。
圧倒的且つ一方的に自国に有利な不平等条約を結び、輸出を伸ばすと胸を張るオバマ大統領。韓国議会の批准承認を進めるためか、李大統領を招いて歓迎式典まで開催した。しかし、米メディアの扱いは小さかった。雑魚みたいな小国相手にFTAを結んでソレがどうしたみたいな雰囲気がある。オバマ・李のツーショットを掲げて画期的な一大事と報じ、韓国との競争上、TPPに参加すべしと狂ったように吠えるわが国のメディアとずいぶん温度差がある。
実はTPP、アメリカでは全然メディアが取り上げない。誰も知らないし関心もない。確かにチリだ、ブルネイだと云われてもぴんと来ない。そんな話だから、日本が交渉に参加するとかしないとか、もちろん話題にはならない。日本国内の大騒ぎを見ると、アメリカの反応に拍子抜けする。
思うに、仮にアメリカが国を挙げてわが国をTPPに引きずり込む方針なら、メディアを動員して地均しのように情報を拡散する筈だ。日本の制度のどこに欠陥があり、如何に不公正に米国品の輸入を阻止し、遅れた金融や保険で日本国民がどれだけ泣いているか、嘘でも情報を垂れ流す筈だ。ところがそんなものは一切ない。外交や軍事の一大事があれば、ほぼ確実に事前の世論操作がある。これは陰謀論じゃなくて、政策を円滑に進める為の常道だ。TPPについてはそれがない。
察するにアメリカ、実は日本とのTPP交渉など本気で考えちゃいないのだ。支持率が下降線を辿るオバマ大統領とすれば、何でもいいから国民や議会にアピールできる華やかな話題が欲しい。来月、出身地ハワイで開催するAPECでちょっとイイカッコがしたい。それだけの話ではないか。大統領と通商代表部にとっては、TPPはきっと祭りの花火みたいな小道具だ。
わが国がオバマ大統領の支持率向上に付き合う必要はない。にも関わらず、日本のメディアがこぞってTPP推進論を繰り広げるのは異常だ。経済破綻間近で不平等条約にすがりついた韓国を「競争上の脅威」と看做し、チリやブルネイ相手に「国際的な孤立」の恐れ有りと虚偽宣伝する。なぜか。
はっきり答えよう。これはTPPを利用して自国の手足を縛りたい日本国内勢力の謀略だ。アメリカ様に逆らうのか!のひと言で反対意見を封じ込め、まやかしの国際協定でわが国の自由と独立を奪い、歴史や文化すら否定しようとする反日勢力の仕業だ。それが証拠にいつもは自虐史観と反米思想を拡散する新聞各社がこぞってTPP推進を唱えている。普段と違って今回だけ公正な報道をするわけがない。
ちなみにワシントンDCにおける過日の野田・オバマ会談では、TPPのTの字すら出なかったとの噂を聞いた。ところが日本国内のメディアはあたかもオバマがプレッシャーをかけたように書き立て、無理矢理「アメリカの外圧」を印象づけようとする。オバマ大統領にそんな話をしたら、たぶん「えっ、俺、外圧って云われてたの?」って、きょとんとする。結局のところ、日本て国は何が何だかよくわかんねえなあと、呆れられるかも知れないが、ま、そんなところだ。