ギリシャ総選挙後の連立交渉がこじれて再選挙が実施されることになった。来月、反緊縮財政派が圧勝するのはほぼ確実だ。借金を返す気もなければ、労働意欲も無いお国柄は困ったものだが、ギリシャ国民は幾ら財政を圧縮しようと解決にならないことを直感的に知っている。デフレ政策は経済悪化に拍車を駆けるだけだ。金詰りになった弱小国が問題を解決しようと思えば、韓国みたいに通貨安で乗り切るしかない。 共通通貨離脱は経済学的に正しい選択だ。
もっともユーロ離脱でギリシャ向け債権が紙屑になる可能性があって、これが欧州中央銀行や金融機関を悩ませる。でも、だからこそ債務の50%減免を実施したし、各行の実力に応じて充分な引当てもした筈だ。金融市場は損失を織込み済みだから、大した混乱も起きやしない。そもそもギリシャはとても小さな国で、大阪府か神奈川県くらいの経済規模しかない。ひっくり返ったところで、どうってことはない。
もちろん個別に損するケースは発生するが、もともと経済力皆無で生活水準が恐ろしく低く、なぜユーロ圏に入れるのか誰もが不思議がったギリシャを相手に金を貸したのだ。返して貰える確証もないのに、貸し込んだほうが悪い。市場は常に動く。次回はもっと真っ当な商売に励んで、損を取り戻せばいい。
ちなみに独仏などユーロ圏の主要国は、弱小国を抱えることで通貨価値を引き下げる輸出拡大作戦が通じなくなるのは嫌だろうが、いつまでもズルいことを考えちゃいけないのだ。わが国は異常な円高に歯をくいしばって耐えている。少しは見習えと云いたい。
さて、ギリシャが共通通貨ユーロを捨てて自国通貨ドラクマに戻せば、当然その価値は暴落するだろう。しかし、実はそれこそが経済の処方箋なのだ。人だって国だって、裸一貫になってこそ復活がある。もともと豊かな観光資源が売り物の国だ。通貨の安さを売り物にさらに観光客を呼び寄せて、本格的な経済復興を目指せばいい。
きっと多くの観光客が大昔の彫刻を見物して、ああ、そうだ、ギリシャは裸一貫だなと納得するだろう。踏み倒された債権だって忘れてやろうと云う気になる。
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