つい昨日(現地時間30日)ホワイトハウスに野田首相を迎えたオバマ大統領が、今朝はアフガニスタンの首都カブールにいる。誰もがあっと驚く極秘の電撃訪問だ。オサマビンラディン殺害1周年を祝して、アフガニスタンと戦略的なパートナーシップを結ぶ。2014年の米軍撤退後も長期的に同国を支援し、地域の平和と安定に寄与する姿勢を示す。
外交面で然したる実績のないオバマ大統領にしては、なかなかの行動力だが、必ずしも全米が評価しているわけでもない。秋の大統領選を睨んで強い指導者を印象付けたいのは分かるが、ビンラディン殺害1周年のアフガン入りは過剰演出ではないかと保守派が批判する。首謀者が死んだとは云え、アルカイダの組織が存続する以上、相手を無闇に挑発するのは愚かだと危惧する声もある。
しかし、今回の極秘電撃訪問が選挙狙いのパフォーマンスに見えたとしても、政府によるテロとの戦い自体を非難するアメリカ国民はいない。当たり前だ。テロ組織は国家と違って、捉えどころのない厄介な相手だが、殺意をもって自国民を脅かす以上、根こそぎ叩き潰さねばならない。これは戦争だ。自分たちの命や生活を守るための尊い戦いだ。そして戦いの先頭に立つことこそ、国家の指導者にとって最大の役割であり責任なのだ。
さて、翌日アフガニスタンに向かうオバマ大統領は、軍幹部と種々打ち合わせをしながら、緊張の面持ちだったろう。そこへのこのこ呑気な馬鹿面を下げて野田がやって来た。オバマは内心、早く帰れよと思っていたに違いない。ところが野田は気が利かない。基地問題は一生懸命やってますとか、原発は全部止まっちゃうかも知れませんとか、TPP交渉はまだ参加できませんとか、野田はむにゃむにゃワケのわからないことを云いながら、へらへら笑う。取り敢えず握手すると、余計にへらへら笑う。何なんだろう、この男は?オバマが野田を見る眼には軽蔑の色が浮かんでいたのではないか。野田は逆さになったホウキに気がつかなかったのか。
思えば、わが国が2001年から継続していたアフガン沖の軍事給油活動は、国際社会でも極めて評価が高かった。テロとの戦いに勝利するため、眠れる日本が遂に一肌脱いでくれたと賞賛された。ところが2010年、ルーピー鳩山がさっさとテロ特措法を打ち切ってそれっきりだ。世界はその無責任さに呆れている。
カブールでオバマ・カルザイ大統領が高らかにパートナーシップをうたい上げる直前、用もないのにホワイトハウスを訪れていた野田。何だかとてもマヌケに見えて、日本の無力さを印象づける。間の悪い男ってこういうものなのだ。