数日前、参議院TVで財政金融委員会の質疑を見た。自民党の西田議員が正攻法でぐいぐい攻め、安住大臣もそれなりに防戦していた。なかなか白熱した議論で面白かったが、ちょっと気になったのが日銀の白川総裁だ。終始、のらりくらりと捉えどころのない言葉を続けるだけ。典型的な官僚型答弁で、もちろん議論は噛み合わない。見ているうちに、妖怪ぬらりひょんを思い出した。
妖怪辞典によると「忙しくしている家に上がり込んで、お茶を飲むなど自分の家のようにふるまう。まるでその家の主のように見えてしまうため、誰も不審に思わない」のが、ぬらりひょんの特徴だ。日本経済が混迷しているのに、ぬぼ〜っと日銀でお茶などすすっているが、総裁ゆえに気がひけるのか周囲も然程批判しない。捉まえようとしても、ぬらりとかわして逃げ、そのへんにひょんと現れて平気な顔をしている。まさに白川ぬらりひょん総裁だ。
財政金融委員会で総裁は、日銀の量的緩和政策は景気回復を下支えする効果があったと認めた。経済成長には家計所得も企業所得も両方増える事が必要だと云う点も認めた。ところが、従来の意図的なデフレ政策の間違いを絶対に認めないし、インフレ政策に舵をきるわけでもない。ぬらぬらと逃げるばかりだ。
誰が見ても、日銀は通貨供給の拡大に極めて消極的だ。リーマンショック以降、米連銀も英国銀行も欧州中央銀行も、保有資産高がそれまでの3倍近くに増えている。つまり、それだけ市中に大量の通貨を供給したのだ。にもかかわらず、日銀の保有資産は微増程度でほぼ従来水準のままだ。これだけ他主要国と通貨供給量が違えば円高になって当たり前だ。景気は一向によくならないし、通貨不足でデフレが続く。
振り返れば、白川氏を日銀総裁にと必死で押したのは民主党だ。自らも政権を奪取して経済破壊策を断行し、併せて白川率いる日銀にデフレ路線を取らせて、わが国を貧乏にする作戦だったに違いない。さらに飲酒問題をを取り沙汰された中川昭一大臣の会見でも、隣にすわり平然としていたのが白川総裁だ。実はああ見えて、とても恐ろしい人なのだ。
頼り無さそうな表情だが、ぬらりひょん総裁を舐めてはいけない。ゲゲゲの鬼太郎では、ぬらりひょんこそ「日本妖怪の総大将」だ。