スポーツの審判が絶対的な存在だったのは、リプレイがなかった時代の話だ。過ぎ去った瞬間は取り戻せないから、審判の判定を受け入れるしかなかった。ところが今や、ビデオのリプレイで試合内容をじっくり再確認出来る。しかもカメラの配置やアングルで、審判の視覚から漏れた動きまで把握可能だ。怪しい判定があれば、リプレイを仔細にチェックすればいい。
柔道で話題となったジュリー、即ち審査委員は判定の可否を判断する。大相撲で云えば、瞬間的に下す行司の判定に間違いがないか確認する勝負審判にあたる。しかも審査委員は、視覚機器でリプレイを確認して万全を期す。
海老沼選手の柔道で判定が覆ったのは、審判の誤審を審査委員が認めたからだ。相手が卑怯な反則技を使い、しかも毎回国際スポーツ大会で疑惑を撒き散らす韓国の選手だったため、ああ、またかと異様な光景に見えたが、そこは無関係だ。判定が誤審だったから、訂正しただけだ。ジュリーにより逆転判定が下っていいのか、と的外れな批判も散見するが、誤審を覆すのが仕事なのだ。そもそも間違いを正すのを逆転とは云わない。
ロンドンオリンピックは誤審が多いと不満を持つ向きもあるようだが、むしろ審判の至らざる部分を視覚機器が補い、事後確認を徹底するからこそ、そうなる。体操など審判の主観で点数をつける競技であっても、明確な採点基準の物差しでリプレイをきっちり確認すれば、判定が覆るケースも出て来る。
勝負の判定を正確にするため、高精度なカメラやコンピュータやセンサーを全種目で駆使すればいい。ハイテク技術の助けにより、審判の見間違いや見落としも防げるし、情実によるインチキ判定や審判への賄賂も無意味になる。スポーツの世界も先端技術によって進歩する。
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