国会の事故調査委員会が、福島第一原発事故は「自然災害でなく明らかに人災だった」と結論を出した。へええ、と驚く。東北大震災は1000年に一度の天災だった。地震により原発施設が壊れたわけではないが、津波をかぶって電源を喪失して故障した。如何に「人災」で事後の混乱があろうと、事故発生自体は「天災」によるものと考えるのが普通の神経だろう。
原子力賠償法は「異常に巨大な天変地異が原因で事故が発生した場合、電力会社は免責」と定めている。国が責任を持つべき電力供給を民間に委託する以上、天災による事故の補償を業者に負わせる訳にはいかない、と云う常識的な理解に基づく法律だ。無責任な民主党政府が、被災者の救済義務から逃れるため、あえて「天災」を「人災」と呼びかえたように思えて仕方がない。
そもそも東京電力が悪いと云う説自体が疑わしい。実は東電を含む全国の電力会社は、原発を極めて安全に運転している。大震災発生時にトラブルが起きたのは唯一、福島だけで、その他50数基には何の異常も起きなかったことがその証左だ。万が一、安全対策に不備があったとしても、常々、箸の上げ下ろしにまで目を光らせている経済産業省の監督責任こそが責められるべきだ。
それでも全ての罪を東電になすりつけるのは、同社をにっちもさっちもいかぬ状態に追い込み、国家の背骨とも呼ぶべき電力事業を国営化することが目的ではなかったのか。さらには電力供給を混乱させ、国家経済を弱体化させる意図もあったのではないか。民主党の背後には社会主義思想に染まった組合や、革命を目指す極左の活動家がいる。いかにも彼らの考えそうなシナリオだ。
もっとも「人災」は確かにあった。逆上を装って支離滅裂な対応に走った菅直人こそが災いの根源だ。あろうことか、東電による対処を邪魔しただけでなく、数の対策会議を発足させて、故意に指示命令系統を大混乱させた。事故調査委員会が人災だと云い張るなら、菅直人工作員こそ、逮捕して投獄すべきだろう。