1994年、インドネシアで開催されたAPEC総会で、域内経済協力の推進に留まらず、貿易・投資を自由化しようとの合意が形成された。開催地の名をとって「ボゴール宣言」と呼ぶこの取り決めは、2010年までに日本などの先進国、2020年までに途上国を含めた完全自由化を達成すると謳った。自由貿易こそがAPEC諸国に経済成長と繁栄を約束するとの共通認識に立ち、時間軸で明確な目標を設定したものだ。
その節目にあたる2010年、日本が議長国となったAPEC総会では、域内で高いレベルの経済提携を目指し、アジア太平洋自由貿易圏FTAAPを実現するとの首脳宣言を採択した。新興国の台頭著しい地域であればこそ、APECが世界経済の牽引車として「強固で持続可能且つ均衡ある成長」を確保すると決意表明したものだ。これをボゴール宣言同様、開催地の名を冠して「横浜ビジョン」と呼ぶ。
夢と希望に満ちたAPECの将来構想を打ち出した画期的な「横浜ビジョン」だったが、不幸にして、無能で邪悪な民主党政権の時代だった。政府が趣旨説明を手抜きしたため、TPPが唐突に提唱された印象を国民に与えただけでなく、疑心暗鬼を生じさせた。農協や医師会など既得権益層から猛烈な反対論が湧き上がり、国民に漠たる不安が広がる中、反米主義者が拡散する陰謀論のデマが加わった。菅直人の「平成の開国」は「平成の壊国」だと揶揄され、反TTPヒステリー症状が蔓延した。
その後、菅が消え、野田が消え、民主党が壊滅し、第二次安倍政権が誕生した。ふと冷静になってみれば、TPPは横浜ヴィジョンで述べられた現在進行中の地域的取り組みのひとつであり、将来実現すべきFTAAP誕生への着実な一歩に他ならない。ヒステリー症状で自由貿易圏構想の本質を見誤ることなく、アジア太平洋地域の国々と心を通じ手を繋ぎ、目覚しい経済成長と豊かな繁栄の果実を手に入れたい。
自民党は13日夜に開いたTPP交渉参加をめぐる対策委員会総会で、安倍首相に決断を一任した。決議に賛成・反対両論を併記しつつ、事実上、正式にTPP推進に舵を切ったのだ。農業団体を選挙基盤とする議員たちですらTPP容認に転じたのは、国民生活の向上や国際社会におけるわが国の地位を維持するには、参加が不可欠との判断に至ったからだ。
民主党政権さえなければ、もっと早く参加することが出来たのにと、多少残念だが致し方ない。今も社民、共産、おざーさんの生活がTPPに反対するが、彼らの抵抗などモノの数ではない。維新もみんなも賛成だ。安倍内閣と自民党が一体になって進めるTPPをわれわれ国民もこぞって後押ししたい。全力で応援しよう!