痛ましい。スポーツ部の顧問に体罰を受け、高校生が自殺するなんて、あまりにも悲しい。教師の理不尽な暴力で大切な子を失った親の気持ちを思うといたたまれない。死ななくてもいいのにと残念だが、学校と云う閉ざされた空間で教師に叩かれる生徒には逃げ道が無かったのだろう。恐怖と苦痛と屈辱にまみれて絶望し、少年は唯一の救いとして死を選んだ。
他人への暴力行為は犯罪だ。そこには何の正当性もない。しかも相手が子供だろうと生徒だろうと後輩だろうと、弱い者苛めほど醜い犯罪はない。生徒を自殺に追いこんだ顧問の度重なるビンタが事実なら、逮捕して傷害罪を適用し、人生を破滅させるほどの重罪を課すべきだ。子供の命を奪った男が相応の罰を受けねば、社会正義は成り立たない。
ことスポーツとなると、世の中には意味不明な根性論を振りかざし、嫌がる者に苦痛を与えて、肉体や精神を鍛えたがる人間もいるが、明らかに狂った考え方だ。人間の尊厳を否定し、人格を踏みにじって、どこに相手の成長を促す要素があるのか。ただ単に教育や指導に名を借りて、他人を傷つけてエゴを満たす、あるいは刹那的な快感を得るサディスティックな行為ではないか。
もう根性論と暴力を賛美するのはやめよう。他人から負わされる痛みや苦しみに我慢を重ねて耐えることが立派だと勘違いする、マゾヒスティックな美学を捨てよう。思うに、へらへらと笑いながらアントニオ猪木のビンタごっこを楽しむ風潮が、体罰と呼ぶ暴力行為を助長するのだ。社会に悪影響を与えるショーは放送禁止にすればいい。ファンに元気を与えたいのなら、猪木さんはビンタを止めて、ひとりひとりを優しくハグすべきだ。