わが国の役人は異常なほど過大な権限を持つ。法律は認めないのに、木っ端役人が勝手な通達を出して、長年、外国人に生活保護を支給しているような例もある。反対に、役人が規制をでっち上げて、業者を締め上げるのも日常茶飯事だ。たいていは既得権益層である企業群の声を受けて、新規参入や輸入品を阻止する類が多い。「ここはよしなに」と小判入りの菓子箱を献上する商人と、「ぐふふふ、お主も悪よの〜」と相好を崩す役人の姿が目に浮かぶ。
たぶん薬局や薬剤師などの業界団体も、「お主も悪よの〜」なのだろう。驚いたことに、政府が薬品のネット販売を規制するため、通常国会で薬事法改正(?)を行うと云う。昨年、薬品のネット販売規制をめぐっては、薬事法に基づかない厚生労働省の規制は違法だと最高裁判決が出て、国が敗訴した。普通なら、これでネット販売は解禁となる筈なのに、逆に薬事法を改悪してネットを規制対象にする。既得権益層がネット流通を潰そうと、菓子箱の底に小判を潜ませたに違いない。
薬は危険性があるから、ネットで売っちゃ駄目だと規制し、かろうじてビタミン剤程度なら売らせてやると役所はふんぞり返るが、そもそも一般大衆薬は然程危険がないから処方箋なしで誰でも買えるのだ。副作用やリスクのある薬品の販売には、薬剤師が必要と云うが、殆どの消費者はカウンセリングなど受けちゃいない。薬剤師の雇用確保を目的にネット販売を制限するのなら本末転倒だ。
ちなみにアメリカでは一般大衆薬はもちろん、処方箋の薬も、インターネットで買える。アマゾンもあれば、ドラッグストアドットコムなどのネット薬局もある。質問があれば、電話かメールで尋ねると専門の薬剤師が答える。当然ながら、薬品の価格も安くて宅配してくれるから、消費者に好評だ。仮に危険性に目くじら立てるなら、ネットで如何に購入前の薬品情報提供を徹底するか、知恵を絞ればいいだけの話だ。
いずれにせよ、必要もない規制をでっち上げるために法改正をする政府の気違いぶりには呆れる。新しいビジネス形態が生まれ発展するよう、そして消費者の生活がより豊かに便利になるよう考えるのが、政府のあるべき姿だ。バカ役人が抵抗しようと、規制なんぞは出来るだけ少なくして、自由闊達な市場競争を促進すべきなのだ。