わが国で当代随一の経済学者と云えば、竹中教授 だ。日本経済の諸問題について平易な言葉で問題点を抉り出し、きっちりと処方箋を示す。しかも活躍は学界にとどまらず、小泉政権では重要閣僚として、自らが改革断行の先頭に立った。今回の安部政権でも種々提言される立場にあることは頼もしい限りだ。
ところが残念なことに、竹中教授を誹謗中傷し学説を否定する声を聞く。やれ構造改革がデフレを促進するの、TPPは国体をぶち壊すのと、被害妄想的な非難を投げかける。果ては小泉竹中改革が格差を広げてシャッター通りを作ったと、まるで朝日新聞みたいな言い掛かりをつける。
頓珍漢な左翼が反竹中路線を掲げるなら判るが、驚くことに保守派の一部も同調する。おおかた農協や保険業界など、構造改革やTPPに反対する既得権益層が背後にいるに違いない。あるいは、自由競争を否定して、国家社会主義を標榜するあたり、行くとこまで行くと左も右も一緒になってしまうのか。
保守派にも過激な反米思想を持つ人たちがいるから、たぶん、この点でも、支那朝鮮寄りの左翼と共通する発想が生まれるのだろう。狂ったようにTPPには反対する保守勢力(?)が、日中韓FTAやRCEP(東アジア地域包括的経済連携)には固く口を閉ざして、無言で賛意を示すところに胡散臭さが漂う。
さて、19日に産経新聞に掲載された論説記事「TPP『大義』貫く指導力を 対米自由貿易へ唯一の道」も、すとんと胸に落ちた。さすがは竹中教授だ。ひと言ひと言に大きく頷いた。教授ご指摘の通り、日本経済にとってTPPに入らない選択肢は有り得ない。交渉妥結に向け、安部総理には是非、大きな指導力を発揮して頂き度いと思う。