産経新聞とフジテレビの調査によれば、消費税増税に対する反対が賛成を上回り、しかも1年前に比べて反対と賛成の差が拡大していると云う。そりゃそうだろう。どんな税金であれ、本音を云えば誰も払いたくないのだから、反対者が多くて当然だ。しかも遠い将来ならいいじゃないかと賛成していた人が、増税時期が近づくにつれ反対に回るケースも多い筈だ。
特筆すべきは、誰もが嫌な筈の増税に、4割もの人々が賛成していることだ。さすがは賢明な日本国民だ。国家財政の健全化や震災復興の原資確保の必要性を理解するだけでなく、広く浅く消費者が一律に納税する、明瞭で公平な消費税システムの長所をきちんと理解している。輸出に際する消費税の戻しが一部大企業の優遇だなどと云う、珍奇なデマには誰も騙されていない証だ。
経済成長が確かな数値を示せば、消費税率を引き上げるのは規定路線だ。反対のために反対する勢力もあるが、法律に則り粛々と進めて欲しい。仮に税収基盤の安定や景気拡大で財政上の余裕が生まれるなら、法人税や所得税を減税すればいい。直接税から間接税にウエイトを移すのは世界の潮流であり、合理的な考え方だ。
もちろん、消費税増税がアベノミクスで上向きになった景気を腰折れさせる懸念はある。97年の橋本政権による消費税増税の失敗を繰り返してはならないと聞けば、そのとおりと思う。しかし、池田信夫氏のブログ「消費税率を上げると税収が下がるのか」によると、実際に税収が減ったのはその後の信用収縮によるものゆえ、消費税増税を目の敵にするのはおかしいらしい。
菅官房長官が明言するとおり、秋口には安部総理が景気動向を睨みつつ判断するのだろう。来春、増税実施であろうと、翌年以降への延期であろうとかまわない。われらの安部自民党政権に任せておけば、間違いはない。この安心感が民主党政権とは全く違う。