2013年06月10日

オバマが習近平にベンチを贈呈した理由!

カリフォルニアの保養地で、ひっそりと米中首脳会談が行われた。非公式会談であったためか、然程メディアも騒がない。中身が気になったので、ホワイトハウスのプレス発表を読んでみた。安全保障問題担当のドニロン大統領補佐官によるブリーフィングと質疑応答が、こちらだ。http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/06/08/press-briefing-national-security-advisor-tom-donilon

 

7日の会談と晩餐会、8日のプライベートミーティングと茶会で、計8時間、首脳同士が顔を合わせた。会談では互いの経歴などの自己紹介、それぞれの国内政策や外交政策を披露しあい、相互協力の可能性を探ったそうだ。云ってみればお見合いか。主たる話題は、北朝鮮の非核化とサイバー問題の世界的なルール作り。他には地球温暖化などの環境問題、TPPを含む通商関係も話し合われたと云う。

 

おい、尖閣はどうなった?と、コレがわれわれの関心事だが、ドニロン氏によるブリーフィングには出て来ない。但し、後半の質疑応答で、「日支間の緊張につき話は出たのか?」との記者の質問に対し、こんな風に応えている。

 

「昨晩、ディナーの際、尖閣諸島について結構長く話しましたよ。ご存知の通り、合衆国の基本的な考え方は他国の領土主権問題についてどうこう云うものじゃありません。しかし、大統領は昨晩、この件に関して3つ述べました。当事者間で緊張を緩和すべきこと、外交チャネルを通じ対話すべきこと、東支那海における武力衝突を避けるべきこと。これが昨晩の会話の要旨です」

 

何だ、それだけか、とちょっと拍子抜けする。日米安保ってモノがあるんだぞ、チャンコロの軍隊なんぞ即座に壊滅させるぞ、とでもオバマさんが凄んでくれれば良かったに、と思う。しかし、客人を招き、マオタイ酒で乾杯し、ロブスターやステーキを堪能しながら、大統領たる者がそんな脅し文句を云うわけがない。穏当な見解を示して当然だ。

 

ちなみにホワイトハウスの発表には、習近平主席が領有権を主張したとか、太平洋は2大国の空間だと海洋進出の野心を表したとか、そんな記述はない。支那中共政府の発表ではそういう話かも知れないが、パームスプリングの写真では、終始リラックスした表情のオバマ氏に比較して、習氏はどこかオドオドと極度に緊張した感じがする。朴訥な田舎のとっつあん風で、胸張って主張を押し通す人物には、とても見えない。

 

さて、結局のところ、この非公式会談とは一体何だったのか。プレス発表では、2期目を迎えたオバマ大統領と就任早々の習近平国家主席が顔合わせして、今後の協力関係を築いていこう、こんな趣旨だったと説明する。しかし米側の本音は、キンペイがどんな男かちょっと見てやろう、みたいな軽い気持だったのではないか。

 

 

 

 

 

オバマ氏から習氏へのプレゼントは、カリフォルニアで採れる木材、redwood製のベンチだった。互いの距離を縮めよう、そんなメッセージを込めた贈り物なんだろうが、お前はまだまだ世界の外交舞台に出る器ではない、当分ベンチを温める役だな、と云うニュアンスも感じられる。

 

 

 

 

 

 

posted by yohkan at 11:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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