1ドル=100円になった。このまま円安基調が続いて110円、120円に触れるのか、逆転して90円台に戻るのか、こればかりは分らない。しかし、1ドル=100円には座り心地の良さがある。落ち着きと安定感がある。理由を説明せよと云われても出来ないが、何となくそう感じる。今後当分の間、1ドル=100円前後に収束するのではないかと思う。
理論も根拠もなくいい加減なこと云うな、と文句を云われそうな話だが、経済を熟知している筈の学者が1ドル=50円説を唱えて赤っ恥をかくのだから、そもそも為替予想に然したる理由はいらない。晴れたり曇ったりは、天気予報をアテにするより、風を肌で感じて勘を働かせたほうがいい。
さて、1ドル=100円で為替が落ち着くとの前提で、是非提案したい。最近、めっきり聞かなくなったが、もうそろそろ、デノミを実行して旧100円を新1円にしてはどうか。アメリカのドルに比して円の価値が100分の1なんて、どう考えても面白くない。大国日本のメンツにかかわる。世界の主要通貨なのに、円だけゼロがぞろぞろつくのはみっともないし、計算が煩わしい。
円の国際化にはデノミが不可欠だ。ドルやユーロとほぼ同価値であれば、世界中の誰にとっても分り易くて便利だ。特に今後、TPPで巨大な共通市場を相手にする際、ほぼ1ドル=1円は理想的な為替レートだろう。しかも10000円を新100円と呼ぶだけのことで、広く波及する経済効果が見込める。
実際、明治初期の為替レートは1ドル=1円だった。その後、国力を反映して改訂されたが、1ドル=2円くらいの時期が長かった。戦後のブレトンウッズ体制で1ドル=360円となったのは、敗戦による資産の喪失で気違いじみたインフレを経たからだ。その後、わが国の目覚ましい経済復興や変動相場制への移行もあって、現在の100円前後に至る。歴史を振り返れば、1ドル=新1円へのデノミは一種の先祖返りだ。戦後レジームの脱却であり、「日本を取り戻す」通貨政策でもある。躊躇わずにやるべきだ。やるなら、今でしょ。