「日本人はデフレのトラウマでインフレの怖さを忘れている」と週刊ポストが書いた。毎週、毎週、とにかくセンセーショナルな記事で紙面を埋めなきゃいけないご苦労な商売とは云え、随分、的外れな主張をするものだと呆れる。
安倍政権の発足や日銀の総裁交替で景気全体に明るさは戻りつつあるが、デフレはまだ持続中だ。アベノミクスが徐々に効果を発揮するだろうが、本格的な回復にはまだ時間がかかる。と云うか、デフレ脱却が確実視出来る段階にすら至っていない。なぜ、今ここで、ハイパーインフレを心配しなきゃいけないのか。
例えるなら、風邪をこじらせて寝込んだ病人が、名医、ドクター安倍の処方箋で漸く快方に向かい始めたところだ。まだ熱もあるし咳も出る。栄養を取ってゆっくり寝て、食後にこの薬を飲みなさい、とアドバイスを受けている病人に向かい、そんなに栄養を取ったら激太りするぞとか、運動不足で糖尿病になるぞと筋違いな警告を発するのだからお笑い草だ。
この記事には、日本がかって通貨危機を迎えたアルゼンチンと同じ道を辿る、との文面もあるらしいが、経常収支が大赤字で莫大な対外債務を抱えた国の姿に、正反対、つまり経常収支が恒常的に黒字で世界最大級の対外資産を持つわが国を重ねることが異常だ。アルゼンチンなんて地球の裏側だし、読者はバカだから、何を書いても分りゃしないと開き直るつもりか。
週刊ポストはひたすら自民党を批判し、気持悪いほど小沢をヨイショする奇妙な雑誌だ。何か確固たる報道方針があるのだろう。アベノミクスはハイバーインフレをもたらすぞと荒唐無稽な嘘をバラ撒くのは、それなりの思惑あってのことと察する。
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