著名な漫画家、鳥山明さんが急性硬膜下血腫により永眠された。享年68。突然の逝去に日本のみならず世界中が驚き、嘆き、深い哀悼の意を示す。
悲しみの涙に咽ぶのは漫画ファンにとどまらない。愛すべきキャラクターや卓越したストーリーを創造した天才アーティストを惜しむ声は、引きも切らない。
フランスのマクロン大統領は仏語に加え、わざわざ日本語でも「鳥山明と何百万もの彼の愛好家へ」と付記して、X(旧ツイッター)に追悼文を綴った。
中国外務省の女性報道官は記者会見で「鳥山作品は中国でも支持された」と評価した上で弔意の言葉を述べ、日中両国間の文化交流への貢献を讃えた。
氏は70年代終盤のデビュー以来、『Dr.スランプ』など数々の傑作を生んだが、なかでも『ドラゴンボール』はアニメ化やハリウッドの実写化で人気を博した世界的メガヒットだ。
孫悟空の可愛いギャグに笑い、活躍に胸を躍らせ、カメハメ波を真似ながら、夢や希望や勇気を得て、友情や努力や闘争心の大切さを学んだ人々が世界中に大勢いる。
「ドラゴンボール」を通じて日本に興味や関心を持ち、あるいは宇宙観や死生観などわが国の伝統的思想の一端を理解した海外の人々も結構いるようだ。
国際社会で日本文化の認知度や好感度を高める。「云うは易く行いは難し」ソレをユニークな作品を通じて実現したのは、鳥山さんの偉大なる功績であり、不滅の金字塔だ。
「クールジャパン」と呼ぶ経産省官僚主導の官民ファンドごときでは到底不可能な独自カルチャーの発信と拡散を、ひとりの天才が易々と成し遂げたことを記憶にとどめたい。
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