数日前のG7サミットで、岸田首相が「電力供給力の確保に向け、最大限、原発を活用する」と宣言した。会議の席上、各国首脳もこの発言にさぞ深く頷いたことだろう。
エネルギー危機が叫ばれる最中、持てる原発の稼働を停止したまま、化石燃料を大量に輸入し続け、価格暴騰を後押しする日本は、国際社会にとって理解不能で迷惑な存在だ。
原子力は環境問題に小うるさい欧州が認める立派なクリーンエネルギーでもある。日本が原発再稼働を迅速化すべきなのは自明ゆえ、世界が歓迎し支持するのは間違いない。
ここでふと気付く。どうやら、キッシーは外交が得意と自惚れるだけあって、国内ではムニャムニャ検討するだけなのに、海外に出た途端、正気に戻るらしいw
前例がある。今春の訪英時、現地の投資家相手に「インベストインキシダ」とやって、アベノミクスばりの景気刺激策を打ち出し、対日投資の積極化を促した。
昨秋来、「新しい資本主義」と称して格差解消だ、分配重視だと社会主義まがいの戯言を連発していたのに、ロンドンで突然、正常な神経を取り戻したとしか考えられない。
あるいは、国の内外で異なる顔を持つのか。海外では世界基準に則り王様役を演じる一方、国内ではジョーカー役で世間に阿るのも、人気商売の政治家ゆえに分からないではない。
但し、内と外で発言や行動の乖離が大きいと信用を失う。マスク着用を国民に強要しながら、海外要人との面談となればノーマスクで笑顔を晒すあたりは、大衆の反発を買う。
いっそ、首相たる者、自らをガラパゴス・ニッポンの呪縛から解き放ち、国内にあっても、他先進国と同様の物差しを手に、理性で政(まつりごと)を司るべきではないか。
無論、抵抗はあるだろう。左翼は日本が欧米諸国との共通認識に立たぬよう必死で画策し、右翼は血相を変えて「グローバリズムがあっ」と絶叫し、非難するに違いない。
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