2021年01月04日

寅さん現る

1月6日、厳寒にもかかわらず異様な熱気に包まれるワシントンDC。ホワイトハウスや議事堂周辺、ナショナルモールをはじめ、トランプ支持者の大群衆が首都を隈なく埋め尽くす。

大統領の呼び掛けに応じ、愛国心と正義感に燃える草の根市民が全米から押し寄せた。不正選挙許すまじ。民主主義守るべし。星条旗やトランプバナーを掲げて、雄叫びを上げる。

われらのトランプ氏はまだか?群衆が待ち侘びた頃、突如、豪快なプロペラ音を響かせつつ、上空に大型ヘリが現れた。「マリーンワンだ!」、誰もが大統領専用機の到着に熱狂する。

歓声の中、ヘリがリンカーン記念堂正面に降り立つ。正装に身を固めた海兵隊員が扉を開ける。ここで意外にもタラップを降りる人物が、見慣れた黒いコートに赤いタイの姿ではない。

ブルーの鯉口シャツにチェック柄のジャケット、ベージュの帽子を被り、手には使い古した茶色の皮鞄を下げる。「だ、誰なんだ?」と、群衆から訝しげな声が上がる。

男は登壇し、マイクを掴む。そして叫んだ。「ケッコウケダラケネコハイダラケ、ケツノマワリハクソダラケ。テエシタモンダヨ、カエルノションベン。ミアゲタモンダヨ、ヤネヤノフンドシ」

わからない。意味がわからない。どうやら英語ですらない。米国人が困惑しだした時、集会に参加していた日系人や日本人駐在員が通訳を買って出るが、さっぱり意味が通じない。

演説(?)が続く。「四谷、赤坂、麹町、チャラチャラ流れるお茶の水、粋なねえちゃん、立ちションベン。白く咲いたか百合の花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い」

「黒い黒いは何見てわかる、色が黒くて貰い手なけりゃ、山のカラスは後家ばかり。やけのヤンパチ、日焼けのなすび。色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たない」

理解不能な喋りに苛立つ群衆が暴れ出す。通訳を試みた日本人が張り倒される。この光景に壇上の男、慌てて身をかがめ右掌を差し出し、口上を述べる。「遅ればせの仁義、失礼さんでござんす」

任侠道の挨拶が、拡声器を通じ首都に木霊する。「わたくし、生まれも育ちもニューヨーク市はクイーンズ区です。カケダシの身もちまして姓名の儀、一々高声に発します仁義、失礼さんです」

「イーストリバーで産湯を使い、姓はトランプ、名はドナルド。人呼んで・・・」と、一旦間を置いてこう続けた。「『逆転の寅』と発します」


trump torasan.jpg

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posted by yohkan at 09:08| Comment(61) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする