2019年12月12日

川崎市が日本人の言論を封殺?

平成28年6月、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が成立したと聞き、首を傾げた。何が「不当な差別的言動」か、要領を得なかったからだ。

「適法に居住する外国人やその子孫に対する不当な差別的言動」は仰々しく響くが、曖昧な言葉だ。第二条で下記の「定義」を示すが、大雑把でハッキリした輪郭がない。

「公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう」

おいおい、コレなら、どんな解釈も成り立つゾ。感受性や理解力は千差万別で、言葉の受け止め方も人により違う。異文化に暮らす外国人なら尚更で、拡大解釈するケースも出るだろう。

となれば、何気ない言辞の断片が「差別的発言」とされ、法に抵触するかも知れない。基本的人権たる思想や表現・信条の「自由」を悪法が侵す可能性もある。恐ろしき哉、思想警察の出番か?

そもそも、相手が日本人か外国人かを問わず、危害を加える意思が明白なら、旧来の侮辱罪や脅迫罪、恐喝罪で罰すればいい。敢えて目新しい法律を作る必要がどこに有ったのか?

このあたりは、立法府で動いた西田議員(自民党)に尋ねなきゃ分からないが、何れにせよ、法律として無理があるから、罰則なしで取組推進の「理念」のみを唱える体裁になったと察する。

ところがだ。数日前、神奈川県の川崎市議会が、上記の国法を基に、ヘイトスピーチに「罰金」の刑事罰を科す全国初の差別禁止条例案を可決したと知り、心底驚く。

如何なる言葉が同条例に違反するか、明確な規定はなく、解釈次第でどうにでもなる。一部の市民の告発を以って、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」と決めつけるのは、極めて危い。


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posted by yohkan at 08:49| Comment(55) | 憲法・司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする